毛玉取りにコツはある?プロの毛玉取り職人に聞いてみた
以前の記事では毛玉のできる原因と対策を解説しました。
では実際スワローチェーンではどのようにして毛玉取りが行われているのか?
その詳細を毛玉取り職人にインタビューしてみました。
目次
- 1.毛玉取りって本当に必要?
- 2.どんな道具が必要?
- 3.毛玉取りにかかる時間は?
- 4.毛玉取りのコツは?
- 5.仕上がりは?
毛玉取りって本当に必要?
筆者:そもそも毛玉取りって本当に必要ですか?
毛玉取り職人(以下職人):いきなりだいぶ切り込んだ質問ですね。そうですね…身だしなみにこだわるならもちろんやった方が良いですね。
例えば…毛玉がびっしり付いている服を着た人を見たらどう思います?
筆者:う~ん…見た目に無頓着そうで、ちょっと貧乏臭いと思ってしまいます。
職人:そういう事です。
どんな道具が必要?
筆者:毛玉取りにはどんな道具が必要なんですか?
職人:普段使うのは毛玉取り器とブラシです。カミソリも使う事もありますね。
毛玉取り器は広い範囲を一気に取り除くのに使いやすいです。 カシミヤのような素材の洋服に毛玉取り用のブラシを使っています。 カミソリは細かい箇所や生地の奥に埋まったものを処理する際に使いやすいです。
筆者:毛玉取りって機械でもできるんですね!
職人:機械だけだと細かい調整ができないので、必要に応じてブラシやカミソリなどと使い分けしています。
毛玉取りにかかる時間は?
筆者:私は細かい作業は苦手なんですが、毛玉取りはどれくらい時間がかかるんですか?
職人:洋服の種類にもよるけど、このようなニットのカーディガンであれば10分あればできます。毛玉取りに不慣れな人だと20分~30分以上かかるかもしれません。
筆者:慣れない内はかなり時間がかかりますね…。ニットのワンピースやコートのような大きな衣類だとどれくらい時間がかかりますか?
職人:ニットのロングコートのような大物衣類だと流石に1時間以上かかりますね。
筆者:プロでもそんなに…!ちょっと自分でやるのは大変ですね。
毛玉取りのコツは?
筆者:ずばりコツはありますか?
職人:何を使うにしても力を入れすぎない事です。
毛玉取り器の場合は、力を入れすぎると関係のないところまで削ってしまい、生地を傷める事になります。毛玉取り器は生地を深くまで傷つけないように刃の部分にカバーがかかっています。ですが初めて使う方は深く切るために毛玉取り器を力強く押し付けてしまうケースがよく見られます。
ブラシを使う場合は、洋服の素材とブラシの毛の素材が相性が良いか、目立たない部分で試すといいです。明らかにブラシの毛の方が硬い場合は別のものを使う事をお勧めします。ブラシを服に対して平行に当てて、繊維の目に沿って動かすといいです。
あと何よりも、どこまでやるかの見極めが大切。
筆者:どこまでやるって…毛玉が無くなるまでじゃないんですか?
職人:実はその考え方は危険なんです。例えば暗い部屋にしばらく居ると、最初は何も見えなくても徐々に目が慣れてある程度ものが見えるようになりますよね?
毛玉もそう。だんだん目が慣れて、小さな毛玉も目につくようになるんです。でも、細かい所までこだわり過ぎると必要以上に生地を傷つけて洋服の寿命を短くしてしまいます。
大切なのは全ての毛玉を取るんじゃなくて、見栄えと生地本来の質感を守って毛玉を取る事なんです。
筆者:やり方次第で洋服の寿命まで変わるんですね…。どれだけやるかのバランス感覚はプロならではという事ですね。
職人:洋服はお客様からの預かり物なので、洋服の風合いを第一にしています。
仕上がりは?
筆者:仕上がりはどんなかんじですか?
職人:こんなかんじです。
筆者:わぁ!かなり違いますね!
職人:広い箇所は毛玉取り器を使い、ボタン周りのような細かい箇所はブラシも使いました。
筆者:暗い色の服なのにパッと見で分かりますね。毛玉で分かりませんでしたが、けっこう滑らかな質感のニットだったんですね。
職人:職人:毛玉が洋服本来の質感を隠してしまうんです。そのまま着ないでしっかりケアすると、周りに見られたとき印象が良くなりますよ。
筆者:毛玉取りも身だしなみの1つなんですね。次の衣替えシーズンは今着ているセーターもお願いしたいです!
職人:是非ともよろしくお願いします。